暮らしの底から水面を見つめる

グッドになりたい日記

マイベストなんちゃら その7

もうすぐクリスマス。
踊れるロックとかいうキャッチコピーはクソ以下だ。ピコピコカシャカシャさせやがって。
そんな僕ですが来るべきクリスマスにピッタリだと思われるアルバムを紹介していきます。だから今回は量多め、文少なめでいきます。要チェックや。


31.Son House - Original Delta Blues

ブルースを聴く時期ってないですか?ロックンロールを聴いてルーツを探ると、結局デルタブルースに行き着いてしまうというアレです。聴きやすい、というか現代っぽいのはエレキギターを使い始めたシカゴブルースでしょうけど。
サン・ハウスは一般的な認知は低いでしょうが、ロバート・ジョンソンマディ・ウォーターズに影響を与えた凄い人らしいです。一曲目のDeath Letter(確かWhite Stripesがカバーしてた)を聴いた衝撃ったら。ナショナルのギターにクタクタのおっさんのしゃがれた声の二つだけ(ブルースハープもあったわ)。攻撃的なスライドギターが唸ってます。ぶっちゃけクセが強すぎて何言ってるのかわからない時もありますが、鋼のような強靭なブルースに"ソウル"が震えます。歌ってる内容は日記みたいなもんで、そのアーティストの経験を綴ったものが多く、アメリカの歴史みたいなのが垣間見れて面白いですよ。
シャンパンの瓶でスライドギター。パーティの余興にピッタリ。

Original Delta Blues

Original Delta Blues




ファンクとかレゲエみたいなリズムにブチ切れたボーカルが乗っかり、ピアノやサックスが空間を飛び回る。まさに"パワー"タイプの音楽。プロデュースした人がレゲエの人みたいですね。僕はよくわからないですがジャズっぽさがあるようでそっちの人には聴きやすく感じるみたいです。
初めてShe Is Beyond Good And Evilを聴いたときは衝撃すぎて「なんだこれは……なんだこれは……」と三日間それしか口に出せませんでした(嘘)。
名前はポップですがポップじゃないです。ロック好き!って言ってるアバズレファッキン売女に薦めたらイヤな顔されますよ。鳴ってる音的に言えばロック感はないです。プロデューサーをレゲエの人にしたのはロックらしさをなくすためだったとか。ボーカルはヒップホップ的にも聴こえるのでそっちが好きな人も難なく聴けるかも?
ニューウェーブとかポストパンクとかに分類される今作ですが、間違いなくパンクです。キンタマにクる音楽っていうのはこういうことを言うんだよなあ……ってタマパンパンにしながらそう思います。頼むから2nd再販してくれマジで頼む。
電気を消してろうそくの灯りだけで過ごすパーティにはうってつけ。

Y

Y



33.Public Image Ltd. - Metal Box

これが本当のヘヴィメタル。ひたすら重くて金属的な音はメタル以外の何物でもない。ヒステリックに鳴るギターにブンブンと地を這うようなベース。びっくりするほど無機質に刻まれるドラム。酔っ払ってんのか?って感じのうわずったボーカル。音を感覚で表現するなら前述通り「金属的な冷たさ」。1stはまだピストルズっぽい曲はありましたが、今作はそれっぽい曲はないです。
あ、シンセも入ってるしヘヴィメタルというよりインダストリアルって言えばいいのかな?うーんよくわからんけどシンセの使い方が派手じゃないのに耳に残る感じがたまらん。
ご機嫌なベースラインで体を横に揺らしてダンス。クリスマスパーティを盛り上げろ。

Metal Box

Metal Box



34.Public Image Ltd. - Flowers of Romance

このジャケ好き。ピストルズを解散してから始まったジョンの「ロックの解体」が完成した作品。
リズム&リズム&リズムなアルバム。腹の底に響くような打楽器が主役。Metal Boxのようなギターはあまりなく、殆ど効果音として鳴らされてる。ベースはいない。
とりあえずドラムが主役でボーカルを含めた他の演奏陣はそれに続いてリズムを打ち鳴らす。ボーカルはお経っぽさが増してきているので苦手な人はいっぱいいそうですが、好きな人はどハマりしそう。
和太鼓っぽく感じるところがあり、日本人ならおっと感じるであろう。年末も近くなってきてるしクリスマスにピッタリ。

Flowers of Romance

Flowers of Romance



35.Slint - Spiderland

Good Morning Captainを聴いたのはいつだったっけ……?
マスロックとかポストロックとかよくわかりませんけど、ゆっくりとした曲なのに息も詰まるくらいの緊張感。モノクロの楽しそうに笑うメンバーが写ったジャケットがより怪しさを演出しています。
ピクシーズの時に書いたか覚えてないですが「Quiet-Loud-Quiet」「Loud-Quiet-Loud」って構成好きなんですよね。
年に一度なんだから緊張感溢れるドキドキハラハラのクリスマスにしたくない?冬って感じの音楽だしクリスマスにピッタリ。

Spiderland

Spiderland



36.The National - Boxer

まるで熟成されたワインのよう(僕はお酒を一切飲めません)。この人たちも一時期雨後の筍ばりに出現していたブルックリン出身のバンドなんですよね。
Joy Divisionっぽいと言われる彼らですがInterpolやEditorsと同じくバリトンボイスだからそう言われてるだけじゃねーの。音楽的にはフォークとかカントリーだとかいったアメリカのルーツミュージックみたいなのを感じます(両方全く詳しくないけど)。ポストパンクな要素もありますが、他のブルックリンシーンのバンドより歌に比重を置いてますね。次作であるHigh Violetも大好きなアルバムなんですがそっちはより普遍的で荘厳な感じで、キッズである僕にはギターロックしている今作のがバランス的にちょうどいいのかな〜と。
昔友達に誕生日プレゼントとしてこれを送ったんですが、「静かに腹の奥で火が燃える感じ」と言った彼の言葉が全てですね。
一人ストイックにケンタッキーを食うクリスマスにピッタリ。

Boxer

Boxer



37.坂本真綾 - 少年アリス

DIVEが「未成熟な少女」の「暗さ・苦さ」を表現した作品ならLucyは「大人になったばかりの女性」の「明るさ・愛らしさ」が出た作品だと思います。そして紹介する少年アリスは「成長した彼女」の「卒業・旅立ち」と言ったところでしょうか。次作からデビュー以来タッグを組んできた菅野よう子から離れることになります。
あまりにも奔放な菅野よう子の曲にのびのびと歌う坂本真綾。光あれなんてよー歌えるんや。この頃の彼女の歌声は女性的とも中性的とも取れる感じで、歌詞に度々出てくる「僕」という表現に説得力があります。声優の音楽っていうだけで毛嫌いする人はいるでしょうし各々の趣向なので否定はしませんが、声優が歌う利点って何より歌いながら演技ができるってことだと思います。まぁアニメなどで聞く彼女の演技をうまいとは褒められませんが。勿論それが出来る歌手もいますし、下手な声優さんもいますけどね。ただ水樹奈々や茅原みのりんなんかは僕の中では歌手側の人です。
坂本真綾×菅野よう子の到達点。楽曲のバラエティもさることながら、表現者として大きく成長した彼女の魅力が詰まった作品。統一感で言えばイージーリスニングやDIVE、Lucyの方が上ですけど。アルバム一枚を通しての振れ幅の大きさって武器にも弱点にもなりますからねえ。
おもちゃ箱のような多彩な楽曲でクリスマスパーティを盛り上げよう。

少年アリス

少年アリス



38.坂本真綾 - Driving in the silence

せっかくだからまさに冬というアルバムも。夕凪ループやかぜまち、You can't catch meがJ-POPよりの作風なら、それらとはちょっと違う質感のポップスですね。彼女の透明感のある高音は凛と澄んだ冬の空気に見事にマッチしていて、柔らかで豊かな表現力は冷え切った手を温める白い息のよう。
菅野作品にどこか似ているというのは、一貫性のある「冬」というコンセプトで統一感が出ているの。全編曲・プロデュースを河野伸氏に任せている。あと英詞の曲がある(ラスマス・フェイバー氏が作詞作曲をしているので日本のポップスとは感触がちょっと違う)のでそう感じるのではないかと。コンセプトアルバムって限られたものの中でその演者なりプロデューサーなりの色が濃く出るので好きですね。収録時間があまり多くないミニアルバムっていうのがまたいい。そういえばAPOGEEの永野亮氏が楽曲提供してますね。
結婚してからの作品ということでリスナーは歌詞を聴いていろいろと考えちゃうわけですよね。
「きっと来年もまたいろんなことあるけど  私たちなら大丈夫  幸せになろうよ
すっかり大人になった彼女の書く詞世界は、背伸びしてただがむしゃらに前へと走っていた頃とは違ってなんだかニヨニヨしてしまいがち。
寒い夜にコタツやヒーターの前でぬくぬくと過ごすのにオススメ。

Driving in the silence(初回限定盤)(DVD付)

Driving in the silence(初回限定盤)(DVD付)



39.Buzzcocks - Singles Going Steady

アナーキストだとか暴動を起こせだとかいうのがパンク。そんな中誰かに恋をしただのどうのと歌ったパンクバンドがバズコックス(良い子は訳すな)。
乱暴に言うとその時代のポップスを性急なビートにしたのがこのバンド。今で言うパワーポップとかになるのかな?メロディックな感じといいラモーンズと似てるといえばそうなんですが、バズコックスはなんとも言えないかわいらしさと危なげな怪しさが特徴的かな。ラモーンズはもっと男臭いところがありますね。
気になるあの子の前で歌って一人っきりのクリスマスから脱出だ。

Original Album Series

Original Album Series



40.THA BLUE HERB - Sell Our Soul

リムフェリー近くのケチな検問
警官の一人がジャガーとジャケットを見つめるといきなりこう言った
「オメエ……スキーじゃねぇか」

Sell Our Soul

Sell Our Soul



ハイ。オチがついたところで終わり。メリークリスマス。