というわけで今回も声優のアルバムを一枚紹介します。
- アーティスト: 坂本真綾,岩里祐穂,ティム・ジェンセン,菅野ようこ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1998/12/19
- メディア: CD
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みんな大好き、坂本真綾さんのDIVEです。以前少年アリスとDriving in the silenceは紹介しましたね。少年アリスの記事で
DIVEが「未成熟な少女」の「暗さ・苦さ」を表現した作品
と書きました。
1stアルバムであるグレープフルーツは弾けるような若さと青さが溢れる開放感のある一枚でした。二枚目にあたる今作では、少し背伸びをした「早く大人になりたい」ことを願う成長過程での少女の作品。アルバム全体に漂う雰囲気は薄暗くて湿度が高い。飲み込むのに少し躊躇するビターな味がします。
所謂多感な時期にあたるこの少女が歌うのはキャッチコピーの「ありふれない恋のうた」。菅野よう子の徹底的なプロデュース、J-POPとは質感の違うアレンジもさることながら、坂本真綾の歌手・作詞家としての才能が垣間見れます。歌唱力では技術と経験が蓄えられた今とは比べ物にならないくらい拙いです。少し背伸びをした不安定さは曲と合間って前述した「暗さ・苦さ」を見事に演出しています。青春の躁鬱のように曲と共に子供らしく、時に大人っぽく歌いあげているのは流石。タイトルの「DIVE」というのは自分自身の深いところに潜る、といった意味なんじゃなかと。この時期の人間はいろいろ考えますからね。答えはどうなのかわからないですけど。
今作はタイアップ曲なし(シングルは二曲目の 走る のみ)なのでコンセプトアルバムを除く彼女の作品の中で一番バランスがよく、統一感もある。ジャケットと同じようにモノトーンで描かれた曲は余計なものを削ぎ落としたようにシンプルで心にストンと入ってきます。ストリングスは美しいと感じるよりも少しものさみしげな雰囲気を演出しているように思えてしょうがない。
声優の作品というだけでこれはおたくの聴くものだと言って聴かない人もいるでしょうが、そんなもの抜きで手に取って欲しい作品のひとつです。「声優」という要素は大きな武器になり、重い枷にもなりますなあ。
小話になりますが僕はこの作品をブックオフで買いました(確か480円)。それまで坂本真綾さんの作品は知っていてもそこまで聴いていなかったんです。ただこのワンコインで手に入れた作品を聴いてから彼女の世界にどっぷりと浸かってしまい(同時に菅野よう子作品にもハマりました)今に至るといったところ。まぁその頃からおたくでしたが。
ベスト盤が多数出ているのでそちらから攻めていくのもいいですが、一枚のオリジナルアルバムからどうですか?
おたくくさ。