暮らしの底から水面を見つめる

グッドになりたい日記

プアマンズマーティン

お疲れさまです。
コロナ禍の巣ごもり需要でギターを始める人が多いというニュースからそこそこ経ちましたが、ギター続けていますか?
吉田拓郎に憧れてGibson J-45かMartin D-35を買いましたか?
憧れのギターは高い。とにかく高い。
憧れの吉田拓郎と同じものを新品で買おうとしても、大人のお小遣いで買うにはかなり勇気がいる値段になります。ヴィンテージなら尚のこと無理。中古車買える場合がある。
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YAMAHA FG-140です。オールドYAMAHA
このギターはおそらく1970〜1971年に作られたもので50年以上経ったものになります。
ゆずの岩沢厚治氏もレコーディングで使っているFG-180という国産ギター第一号の廉価版で、横と後ろの木がラワン合板、いわゆるベニヤ板が使われているというThe チープなギター。
年数だけで言えば立派なヴィンテージギターと呼ばれるものですが、Nintendo Switchより安く買えます(2021年10月現在)。

アメリカでは「プアマンズ マーティン」と呼ばれているとかいないとか。
憧れを買うのが最短距離で間違いないんですが、前述通り高いんでなかなか買いづらいわけです。
織田哲郎になりたいのでMartin D-18が欲しいわけですが、いい個体探すのも大変かつ高いのでゲットできない。おまけにプアマンなので。
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そこで国産のYAMAHA、古いYAMAHAギターという選択肢なわけです。

MartinとYAMAHAって全然違うやろ!
おっしゃる通りです。まず単板と合板の違いがめちゃあります。
単板は音がものすごくストレートかつ深く響いてくれます。対する合板は少しこもったような鳴りをしている印象(個人の感想です)。
特に低音の解像度が単板/合板で全然違います。単板の方がスッキリしていて各弦の分離が良い。合板はもうちょっと複雑な音がしているのかな。
ただオールドYAMAHA FG、合板と言っても木がしっかり乾いているからなのか、甘く滑らかな中音域とキレのいい高音に鳴りは近所迷惑レベルの爆音です。
合板といっても薄く加工した材を合わせているのかなと。だから良くボディが鳴るんだとおもいます。
YAMAHA FG-140に話を戻して、音が軽すぎると感じる部分はありますが、キラキラした粒立ちのいい「鈴鳴り」と言われる綺麗な音がします。
出ないとは言いませんがなかなかぼやけ気味の低音です。迫力のある音はまず出ません。そういうのが欲しかったらGibson買いな。
レスポンスも鬼速い。指で弾いてヨシ、ピックでかき鳴らしてヨシ。右手のタッチがモロ出ます。
ネックは現代の細いものに比べるとしっかりした感じ。ただ太すぎず、握るとしっくりきます。
極端なキャラクターはなく素直で馴染みのいいサウンド傾向だとおもいます。どこか真面目さを感じるのは国産らしい。
あと見た目ですよ。新品ピカピカなギターもいいですけど、ボロいと言ってしまえばそれまでな半世紀経ったこの木の感じはとにかくカッコいい。
しっかりヴィンテージギターなんです。

ただ難点もいくつかあります。

他のヴィンテージギターと呼ばれるものと同じく状態がいいものを見つけることがまず大変です。
特にオールドYAMAHAはネックのコンディションが良くないものが多く、鳴らないし弾きづらいといったものも珍しくありません。
価値の付いているヴィンテージギターに比べると荒々しく使われる場合もあり、ジャンク品扱いされているものも多いです。
格安で買えたとしてもそれ以上のお金で修理しなければいけないなんてよくある話です。

一時期より落ち着いたかなとはおもいますが、強気の価格設定しているものもあります。
ネックやボディの状態、知識がないと非常に買いづらい。
オークションでも爆鳴りとか激鳴りとか書いてあってもぶっちゃけ買うのはギャンブル。
50年近く経っているわけですから年々いい程度のものが少なくなっています。希少価値が付くかは疑問ですが。
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ネガティブなことも書きましたが、状態の良いものに出会えればお値段以上の価値があります。
合板だからめちゃめちゃ頑丈だし、ドレッドノート(一般的な大きさ)よりほんの少し小さく薄いので女性も抱えやすいです。
あと音が良い。状態の良いものを何本か弾かせてもらったのとあくまで好きは個人差が出ること前提の感想ですが。若いギターには出せない音が出る。

Elliott Smithが好きなのでYAMAHAロゴの69年製FG-180がめちゃめちゃ欲しい。このFG-140よりいい個体があれば買うかもしれないです。
ちなみに吉田拓郎もデビュー当時はYAMAHA FG-180を使っていたみたいです。

つらつら書いててなんですが、初めて買うって人にオススメはしません。
ただそれでも欲しい! ってなる人もいるでしょうし、そういうときは買えば良いんじゃないでしょうか。
音だとかスペックだとか希少性とか、そんなことより自分が惚れたギター使うのが一番長続きするとおもうので。
アコースティックギターは弾けば弾くほど音に変化が出てきます。最初「あれ?」っておもうものもいつか最高の音を奏でるかもしれん。
あなたのお気に入りのギターを相棒にしてやってください。
一旦やめさせてもらうわ。